「高島・・・・」
「由子、どうかした?」
「いや・・・・」何も、と由子が答えようとした瞬間ガラッ、と勢いよく扉が開き禿げ散らかりかけている中年男性教師が入ってきた。
すわれー、と篭った声で教師が言ったので生徒たちはダルさを隠さずに大人しく席についた。
教師が連絡事項をたどたどしく読み上げている間にも、由子は考えていた。
高島がやられた。
それがどういう意味を表すのか。
この国、そして国の発展はあの男一人の賜物だったと言っても過言ではない。
高島が中心となり計画を成功させ、発展も遂げた。そしてこれからもそうなる筈だった。高島がこの国の中心にいる筈だった。
高島がいなくなった今、誰がこの国を背負って立つのか。
可能性が一番高いのは―――
(考えるだけで吐き気がする)
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